素材:clef様
「どうしよう!このままでは近藤さんが…暗殺される!」 山崎が殺され近藤が連れ去られた、そしてまでが… 「このままじゃあなたの大切な人が…大切なものが全部失くなっちゃうかもしれないんですよ」 車の中で新八は土方を責めるが、当の彼は局面に立たされてもガタガタと震えているだけだった 絆 12 真選組とを護ってくれと頭を下げた土方、 そして土方を頼むと頭を下げたの顔が銀時の頭に交互に浮かぶ は死を覚悟していったとは思わない 出会った時はそんな顔をしていたが、あの時のは大切なものを護る為に 身体が勝手に動いたという感じだった 何かを信じているという笑顔だった ったく、こんなヤツを信じているというのか? こんなヤツが大切なものなのか? 「銀ちゃん、どうするアルか?」 「神楽、無線を全車両から本部まで繋げろ」 「あいあいさ」 銀時は無線片手に大きく息を吐いた 「伊東派だかマヨネーズ派だか知らねぇが、全ての税金泥棒どもに告ぐ」 銀時は、今すぐにそれぞれの持ち場を離れ近藤の乗っている列車を追うように ヘタレになってしまった土方に代わり命令を下す。 「こいつは命令だ…背いた奴には士道不覚悟で切腹してもらいま〜す」 どこかふざけたような銀時の言葉に無線の向こうの隊士たちは隊士達は 至極当然の事だが、不信感を抱き怒りの色を窺わせた 「イタズラかぁーっ!!テメェ誰だっっ?」 「誰だと…?」 銀時は大きく息を吸い込むと、それを一気に吐き出すように声を荒げた 「真選組副長 土方十四郎だコノヤロー!!!」 銀時は苛立ちを隠せず無線を投げつけるように切った 何をやってんだ俺は… プライドの高いアイツが頭を下げたらか? いや、どこかで俺とを重ねていたのかもしれねぇな 本当に大切なものをどうやって護っていいか…そればかり考えていた くそっ… 「銀さん…」 「……ったく…、不抜けた面は見飽きたぜ」 ミラー越しに写る後部席で震えている土方を睨みつけながら銀時は溜息を吐く しかし、どんなに溜息を吐いたところで土方が元に戻る事はない 恐れを感じながらただ震えるだけの土方の無様な姿は銀時の溜息を苛立ちに変えていく 「テメェも少しはを見習いやがれ 丁度いい…真選組が消えるならテメェも一緒に消えればいい 墓場まで送ってやらぁ」 「冗談じゃない…僕は行かない」 土方の影が消えてしまった抜け殻に銀時はあまりの情けなさに苛立ちをぶつける それは抜け殻の中に眠る土方へぶつけたものだった 車を運転していた銀時だったが、運転を神楽に任せ後部席で身を縮めている土方の胸座を掴んだ 「勝手にケツまくって他人様に厄介事押し付けてんじゃねぇぞ テメェが人にものを頼むタマか?真選組を他人に押し付けてくたばるタマか?」 どこかで核心を突かれているのか、土方の抜け殻は銀時から目を逸らそうとするが 胸座を掴んでいる銀時の手がそれを許さなかった 中で眠る土方が逃げられないように銀時は掴んでいる手に力を入れた 「真選組ももテメェの大事なもんなんだろーが! くたばるなら大事なもんの傍らで剣振りまわしてくたばりやがれ!!」 「……」 「それが土方十四郎だろーが!!」 何で俺がコイツの為にここまでしなくちゃならねぇんだよ テメェなんか俺の大事なもんでも何でもねぇんだ だが、そう思いながら銀時もまたどこかでと重ねていた自分が大切なもの為に 何をすべき事か気付き始めていた 「…ってぇな」 その時、土方の手が銀時の手を強く掴み返していた 「痛ぇって言ってんだろーがァァ!!」 それは土方の思う大事なものの執念だったのだろうか 押さえつけられていたものが吹き出すように土方は銀時をぶっ飛ばしていた 土方さん…今どうしてますか? この先どうなるか正直わかりません でも…私は例え認めてもらえなくても真選組として最後まで戦います そして近藤さんも真選組も護ります 傍に居なくてもあなたと繋がっていたいから… 「ククク…君もとんだ性悪だ 土方を消す為に僕を利用し、用済みとあらば僕をも消すか…」 鴨太郎は眼鏡の位置を正しながら「いいじゃないか」と小さく笑った 「僕も君と同じ意見だ」 同時に隊士達が総悟に斬りかかってきた だが、総悟が胸元に手を入れると突然後部車両から爆発音が聞こえてきた 「総悟くん…まさか…」 総悟の性格を知っていればそれくらいは予想がつくものだがそんな暇も与えられず 爆発音と共に列車が大きく揺れの身体も座席に叩きつけられた 総悟くんは? 近藤さんは? まさか、その時総悟が隙をついて近藤を前の車両に移動させたとは気付かないは 打ちつけて背中の痛みに耐えていた どうやら総悟が仕掛けた爆弾の爆発した箇所から炎が上がっているらしい しかし、鴨太郎は列車を止める事を拒否しているようだ 「止めれば近藤に逃げられる」 列車が走り続ける限り近藤は逃げられない 袋の鼠だと鴨太郎は叫ぶ 執拗なまでの兄の執念にの胸が哀しいほどに痛んだ BACK TOP NEXT |