素材:Abundant Shine様
つまんない つまんない つまんな〜い!! まったく地獄がこんなにつまんないもんだとは思わなかった 「当たり前だ、お前達は俺の駒にすぎんのだからな」 「ちっ、何よ…自分さえ楽しけりゃいいって言うの?」 「当たり前だ」 ちぇっ、やっぱりつまんない… #001:地獄の救世主!? 「ね、ヴィシャス…下界は楽しかった?」 「あ?…まぁ、それなりに楽しかったんじゃねぇ?」 「そうだね、カワイイ子もいたし…ね」 「う〜〜、ズルイ……私も誰かコールしてくれないかなぁ」 地獄に来てはや3年。 楽しい事と言えば生前マフィアでサルヴァトーレ・ファミリーの連中と仲良くなった ということだけ… それがファミリーのボスの娘を護る為とか言っちゃって、 ヴィシャス達は下界に下ろしてもらっちゃってさ それってズルイ!絶対エコ贔屓だ!! 「ジャン…私も下界に下ろしてよ」 「無駄だ」 「何でよ!ケチ!ケチ!ケ〜チ!!」 「お前……消滅するか?」 二言目にはそればっかり だいたいアンタは何様だって言うのよ…フン! 「おい…聞こえているぞ」 「ヤダ…心の中も読んでるってこと?……やらしー!! それってさ、服の上から透視して裸を見られてるって気がする」 「フン、お前の裸など見てもそそられんがな」 「うわぁぁ……ムッツリ!?」 「なっ…なんだと!?」 「ぶはっ、オッサンたじたじじゃねーか」 「ははは、ってマジで面白いよな」 面白いって何よ ま、一応私に加勢してくれてるみたいだから許すけどさ 「ホント、面白いわよねぇ… でもねちゃん、アンタも一応女の子なんだからもう少し…」 「うるせぇんだよ、オカマ野郎にとやかく言われたくないね」 「んまぁ、何ですって!?アタシは女よオ・ン・ナ ちょっとくらいオッパイが大きいからって生意気言うんじゃないわよ」 「フン、悔しかったらデカクしてみるんだな パットなしでね」 「うん、胸ないと女じゃない……ニコの身体…男…」 「テメェら、ぶっ殺すぞ………あら、いけないわ 闇の声が…」 「やってみれば?もう死んでるからぶっ殺せないけどね」 「きぃーーーっ!!悔しい!!!」 やれやれなんてメディシスがニコールを宥めていたけど ほら、ニコールに触れてもメディシスは気絶しないじゃない… 故に、ニコールはオカマってこと。 「あんまりニコールで遊ぶな」ってグロリアは言うけどさ だって、つまんないんだもん そもそもニコールとニコラスは同一人物だって聞いたけど、何で分離しちゃってるのよ どうせそれもジャンが遊んでるんじゃないの? 「お前達、いいかげんにしろよ つまるもつまんないもないだろ?ここは地獄なんだから」 「アンタ…誰?見たところ神父みたいだけど……何で神父が地獄にいるのよ?」 「いいだろ……あー、そうだよ どうせ俺は人を殺したさ」 「なに開き直ってるのよ…バカみたい」 「なんだと!!」 「まぁまぁ…彼はヨシュアって言ってね、ボスの娘…アメリアの兄代わりってとこかな」 「ふぅん…まぁどうでもいいけど…」 「どうでもいいってなんだよ」 「で、その神父もマフィア?」 「何でだよ、神父って言ってるだろ……だいたいマフィアなんて大嫌いなんだよ くそっ…お前らの所為でアメリアは…」 「そっか、アンタの大事なアメリアちゃんは天国に行っちゃったんだ…お気の毒!」 「うるさい うるさい うるさ〜い!!」 なんなの? 男のくせにヒステリックで… そろそろジャンが怒りだすんじゃない? ほら、眉間に皺が寄ってるし… 「くだらん」 「何がよ」 「人間とは実にくだらん生き物だ」 「んじゃ、くだらせてあげてもいいけど」 「ほう…、お前が俺を楽しませてくれると言うのか?」 「勿論!但し条件があるけどね」 「条件だと?いい度胸だな……で、その条件とは?」 「決まってるじゃない、私を下界に下ろして!」 「却下」 ムカつく 何で却下なのよ 理由を聞けば「俺がルールだからな」なんて偉そうに言っちゃってさ こうなったら意地でも下界に行ってやるんだから 「ねぇ、面白くなかったら消滅させてもいいから一度くらい下界に行かせてよ」 「お前がどうやって俺を楽しませてくれると言うのだ?」 「うーん…そうねぇ この際だから皆も下界に下ろしてサルヴァトーレ・ファミリー再結成なんてのはどう?」 勿論、ファミリーの連中は大乗り気で私の意見に賛成してくれる こいつらを味方につけりゃ恐いもんナシだもんね 「だけど……ボス…いない」 「確かに……でも、それはレオがやればいいじゃん レオってボスの後継者だったって言ってたじゃない」 「やだ…僕やらない……やりたくない」 「じゃあ…ジャンがやれば?今度はダレンの器を使うって言ってたし…」 「バカか…それでは俺が楽しめんだろう」 ったく、それしか言えんのか? ボスになった方が退屈しなくていいんじゃないの? 暫くは渋い顔をしていたじゃんだったけど、突然何か閃いたようにニヤリと笑った ジャンが笑うといい予感はしない すると、思った通りジャンは私に「お前がボスになればいい」と 突拍子もないことを提案した なに言っちゃってるんだ? 私がボス? 自慢じゃないけどマフィアって何をするか知らないんだよ 人を殺すっていうのは聞いた事があるけど、 いくらマフィアだって理由もなく人を殺すわけないと思うし… すると、メディシスがニッコリ微笑みながら頷いている 「そうですねぇ、さんがボスなら私も右腕になりたいですね」 「へ?右腕?」 「うむ……では、俺は左腕になるかな?」 「グ、グロリア?」 「んじゃ、オレは右足な」 「じゃあ俺は左足ってことで…」 「ちょっと、ヴィシャスもルッチも何言って…」 「僕…?……僕は、どこにしよう……あ、背中?」 「せ、背中ってアンタ…」 「じゃあアタシは胸で決まりねっ♪」 「テメェ、殺すぞっ!!」 「ちょっとちょっとちゃん…闇の声が出てるわよ〜」 ったく、闇の声じゃないっつーの!! でも、下界に降りられるならボスになってもいいかも… 「そうだな…お前ならやれるかもしれんな 俺を退屈させるなよ せいぜい楽しませてくれ」 「ラジャー!!」 軽く返事はしたもののこの先どうなるか分からない もしかしたらジャンの機嫌を損ねて消滅させられるかもしれない それでも、その時までは私が退屈せずに済みそうだからいいんじゃない? こうして、私達は下界に降りる事になった BACK TOP NEXT |