素材:アトリエ夏夢色様
それはさ、いきなりだったぜ 2年の頃からなんとなく気にはなっていたんだけど、 それはアイツがすげぇ好きとまで言うほどではなく、ただ気になるという存在だった 同じクラスで、いつもバカみてぇに笑ってて こいつには悩みなんてないんじゃねぇ?って思えるほどな それはキスから始まった 1 その日は図書委員の仕事で俺は図書室にいた だいたい、この俺が柄にもなく図書委員なんてものをやっている事事態が謎だぜ それもこれもあの時黒板にアイツの名前が書いてあったのが間違いだったんだ 2年になってすぐに各委員を決めるとか何とか言いやがって 「かったりぃ」と思ってた俺が何気に黒板に目をやると 『』の文字が飛び込んできた 委員が決まった所には既に名前が記されていて、の名前を見たときに 俺はその名前の隣に『丸井ブン太』の文字を並べたいって咄嗟に思った 気がつくと俺は手を上げていて、望み通りと俺の名前は黒板に並んだ 「げっ、図書委員かよ」 気がついた時には後の祭りで、俺は最も似合わない図書委員をやる事になっていた それでもが「丸井君よろしくね」なんてニッコリ笑うから、 単純な俺は少しだけやる気が起きた 「丸井君、それ取ってくれる?」 「おぅ、いいぜ」 本棚に梯子を立て掛け返却された本を戻していくに俺は下から手渡していた 何度か本を手渡していくうちに俺は気づいてしまった 最初は気にしていなかったのに… 俺がいる場所ってシャッターチャンス…あ、いや…おいしい場所なんじゃねぇ? 本を棚にしまう度に制服のスカートが少し上がって太腿が露わになる ふぅん、って小さいくせに脚がすらりとしてて意外とキレイじゃん 俺はいつの間にかニヤニヤと頬が弛んでいたらしい 「丸井君、次のを取って」 「……」 「丸井…くん?どうしたの?」 「お、おぅ……いい眺めだと思ってさ」 は短く「えっ!?」と言葉を発した後、 俺の言葉の意味に気づいて慌ててスカートを押さえて、 ここが図書室だという事も忘れてるだろ?って言いたくなるほどのデカイ声で叫んだ 「ぎ、ぎゃぁあああーーーっ!!」 叫び声と共には慌てて梯子を降りようとして足を踏み外し、 真っ直ぐに俺をめがけて落ちて来た 危険を感じた時ってスローモーションのように見えるって聞いてたけど、あれってマジだったぜ なんて悠長な事を考えていたら、本がバサバサと頭の上に落ちてきて痛ぇし、 でも、に怪我させたくねぇってきっと咄嗟に思ったんだろうなぁ… まったく俺ってば優しいだろぃ? なんて言ってる場合じゃねぇっつーの 「危ねっ!」 俺は必死でを受け止めた…はずなんだけど、 腹にボディーブローをくらって苦しいし、頭には本が激突してクラクラするしで… ちょーっとカッコ悪いじゃん なんとか身体を起こして「大丈夫か?」と訊いたら、「う、うん」と答えが返ってきたけど アイツはへなへなと座り込んで、真っ赤な顔をして口を押さえ俯いていた 「いててて…」 俺は身体の痛みと共に唇に小さな痛みを感じて 軽く手の甲でそれを拭うように触れると手に赤いシミがついた どうやら唇を切ったみたいだった え?…次の瞬間俺は気がついてしまった 目の前のの行動と俺の切れた唇… これを繋げてみれば、どうみたってアレだよ…な? これって、『グッジョブ!』なんじゃねぇ? あ、いやいや…こんなのキ、キスじゃねぇよな?……痛ぇし…? 「け、怪我…ないか?」 「う、うん…大丈夫…」 なるべく気づかないフリを装うと思ってんのに、俺、めちゃめちゃ動揺してんじゃん も俺と同じみたいで俯いたまんまだぜ 数秒なのか数分なのか、どれくらい俺たちの間の時間が止まってたかわかんねぇけど、 気がつくと、はポケットからハンカチを取り出すと、それを俺の前に差し出した 「血が…出てる」 「お、おぅ…サンキュ」 「…ごめん……それ、捨てていいから」 はそれだけ言うと、何事もなかったように本の整理を始めたんだ 何事もなかったようになんて嘘だよな?だってお前さ俺の顔見ようとしないじゃん 俺は、血で汚れてしまったハンカチを握り締めてポケットに突っ込んだ その日から俺たちは口を聞く事もなくなって、委員の仕事もよそよそしくて… 俺は気がつくといつもの姿を追っていた が俺の近くで話していると、アイツの唇が気になって…ドキドキした これって俺らしくねぇじゃん それから俺たちは3年になって… 見事にクラスも離れて、を見る機会も少なくなっていった …と言いたいところだけど、ジャッカルがと同じクラスになったので 俺は適当に理由をつけながらジャッカルに…もといに会いに行った このまんま終わりにするのは俺らしくないだろぃ? TOP NEXT GS2のように事故チュウを題材にしてみました。 |